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―― 連成振動 ――




(I) 3質点による連成振動

 直線上において、バネで連結した3つの質点の運動を考える。質点の質量はすべて m、 バネ定数はすべて k とし、 両端のバネは図のように固定されているとする。


    


 運動方程式は次のようになる。

    

 上式は、行列を用いて次のように表示される。

    

ここで、
    ,    

である。
 行列 M の固有値は

    

である。 M は、行列

    

によって、次のように対角化される。

    

 したがって、運動方程式は次のように書かれる。

    

 さて、上式の各成分をみると、それぞれ

    

の形の微分方程式になっている。よく知られているように、この微分方程式の一般解は A, α を任意定数として、

    

である。よって、

    

ここで

    

のように一般解が得られ、さらに次式が得られる。

    

ここで、Aj, αj  ( j = 1,2,3 ) は任意定数で、初期条件により定められるべきものである。


(U) 多質点による連成振動(リング模型)

 (I)で議論した3つの質点の場合を拡張してみよう。 直線上において、バネで連結したn個の質点の運動を考える。質点の質量はすべて m、 バネ定数はすべて k とし、 両端のバネは固定されているとする。
 運動方程式は次のようになる。

    

 上式は、行列を用いて次のように表示される。

    

ここで、

    ,    

である。
 3つの質点の場合と同様に、行列 M を対角化して同様の議論を展開すればよいのであるが、少々面倒である。そこで、ここでは次のようにする。
 このモデルでは、質点とバネは一直線上にあるが、nが充分大きいとして、リング状にする。すなわち、最後のn番目の質点に付けられていたバネを取り外し、1番目の質点に取り付けられているバネの他端をn番目の質点に取り付けリング状にする。nは充分に大きいので、局部的にみれば各質点は直線状で運動するとしてよい。
 このモデルでは、行列 M が次にようになる。この行列は次で示すように、容易に対角化される。

    

 いま、次の行列

    

を導入する。この行列については

    

が成立する。 固有値は λn=1 のn個の解である。すなわち、

    

で与えられる。また、Hを対角化する行列は

    
    

で、次のようになる。

    

 ところで、

    

であるから、MU で次のように対角化される。

    

 したがって、運動方程式は次のように書かれる。

    

 (I)での議論と同様にして一般解として次式を得る。

    

ここで、

    

である。また、Aj, αj  ( j = 1,2,…,n-1 ) は任意定数で、初期条件により定められるべきものである。


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