> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

8. 染めてもいいわけ?
 最近では、どこの学校にいっても髪を染めている学生を何人も見かける。このような学生を相手に授業をしたくないなあ、と以前は思っていたけれど、こうまで増えて普通の学生まで染めるようになると、そう違和感を持たなくなってしまった。まだ髪を染めることが珍しい頃は、それなりの理由をもって染めていた者もいたらしい。周りの友人らはアイドルの話しや遊びの話ししかしないので、自分は彼らとは違うんだという意志表示のために染める生徒もいたと聞く。

 娘の通う中学校には、生徒は髪を染めてはいけない、というルールがあるようだ。もし娘が髪を染めたいと言い出したときは、思いとどまらせるのにどのように説得すればいいのかは、難しい問題だ。逆にまずいことに、髪を染めて学校に行ってもいい方法を思いついた (なんという保護者だ)。ただし、良い子の皆さんは、けっしてまねをしてはいけません。もし、まねをしてどのような事態になろうとも私はいっさいの責任を負いません、とひとまず断っておこう。

 まず、1日目は毛1本だけ染めて行く。これなら、誰も気が付かない。自分でも染めたのを探すのに苦労する。ここが肝心なところだが、先生を捕まえて、
 「先生これなら問題にはなりませんよね」
と念を押しておく。もちろん問題になるはずもない。毛1本染めたために処罰されたという話しは聞いたことがない。2日目、さらに1本、計2本染めて行く。まだ誰も問題にしない。3日目、.....。

 さて、k日目、計k本の毛を染めて行っても、どの先生も問題にしなかったとしよう。次の(k+1)日目、計(k+1)本染めていったら、ある先生に呼び止められたとしよう。そのときは、こう言おう。
 「昨日まではなにも言われませんでした。1本よけいに染めただけですけど、昨日までは染めていることにならないのに、どうして今日は染めたことになるんですか」
言われた先生は、
「まあそうだな、毛1本よけいに染めたからといって、それで染めていなかったものが染めたことにはならないよなー。それほど目立つ訳でもないから、今日のところはまあいいか」
とかなんとか言って許される。
 数日後、また先生に呼び止められる。そのときもこう言おう。
 「昨日までは許されました。1本よけいに染めただけですけど、昨日までは染めていることにならないのに、どうして今日は染めたことになるんですか」
 「 .... 」
言われた先生はどうしようもない...はずだ。
(2000. 1.24)
 自然数nに関する命題 P(n) が、全ての自然数nに対して成立することを証明するには、
 (T) P(1) が成立する。
 (U) P(k) (kは任意の自然数)が成立すると仮定すると、P(k+1) が成立する。
を証明すればよい。このような証明の方法を数学的帰納法という。

練習問題1. 4n-1 (nは任意の自然数) は、3で割り切れることを証明せよ。
練習問題2. 全ての人の頭は、禿げているといえるか?


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