最もやりたくないものの一つは、かしこまった席での挨拶である。結婚披露宴に招かれて祝辞でも頼まれたら、食事も喉を通らない。万が一披露宴での乾杯の音頭を頼まれたら、このような挨拶でもして「あいつにだけは乾杯の音頭はとらせるな」と言われようと考えている。
「太郎君、花子さんおめでとう。またご両家の皆様方、本日はまことにおめでとうございます。 さて、ご列席の皆様方とともに新郎新婦の門出をお祝いして、乾杯いたしたいと思います。ところで、乾杯とは全て飲み干すことです。最近では乾杯と言いながら、ちょっと口を付けただけですぐ拍手なさる方がいらっしゃいますが、できますなら全部飲み干していただきたい。全て飲み干していただきますとお二人の永遠の幸せが約束されるからです。 なぜかと申しますと、この器の上から半分までには、新郎新婦お二人の今日の幸せがあり、そして残り半分のうちの上半分には、お二人の明日の幸せが、さらに残りのうちの上半分には、お二人の明後日の幸せが、さらに残りのうちの上半分には.....と言うふうに言われております。半分飲んでも必ずその半分は残るわけですから、半分づつ飲み続けていただくと、永遠に飲み続けることができまして、そうしますと、これを全て飲み干して頂きますと、お二人の永遠の幸せが得られるのでございます。それでは、乾杯!」 さてさて、器には限りある一杯の飲み物しか入っていないはずなのだが、ほんとうに二人は永遠に幸せになれるのだろうか...??? なんだかおかしいな? と、少しでも疑問を持たれた方は、絶対に私には挨拶をさせないようにした方が無難ですよ。なにしろ、二人が末永く幸せになれるかどうかの問題ですから。 (2000. 1.29)
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最初の数 a に、ある数 r を次々と掛けてつくられる数列を「等比数列」という。r が −1<r<1 のとき、 最初の数 a に2番目の数 ar を加え、さらに3番目の数を加え、...というように、途中で止めることなく次々と限りなく加えていくとき、その和は限りなく a/(1−r) に近づく。例えば、a=1/2 で、r=1/2 の場合には、和は限りなく1に近づく。決して1を越えることはない。
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