> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

12. あっついなあ
 「A坊でーす。」
 「B坊でーす。」
 「今日は、お客さん多いーね。夏休みで土曜日でいい天気だちゅうのに、皆行くとこないんやねー。」
 「失礼なこと言うたらあかんがな。こんな日は家にいても外に行っても暑いだけやないか。ここは冷房もよう効いてて涼しいておもろうて笑うて健康に過ごせるとこやんけ。見てみ。そこの前のお客さん、朝の部から来てずっと大きな声で笑うてはるで。」
 「やっぱりそうか。どこかで見た顔やなーと、先っきから気になっとったんや。お客さん、すいませんな。またさっきと同じ漫才やります。しゃべる前に笑わんといてーな。ほんまにやりにくうてしょうがないわ。」
 「おい、あっちの方で赤ちゃん泣き出したで。」
 「お客さん、すいませんね。赤ちゃんの電源は切っておいてくださいね。」
 「携帯電話じゃあないねんで。」
 「そうか。お客さん。すいませんね。しばらく赤ちゃん静かにさせといてくださいね。首締めて。」
 「おいおい、よけい泣き出したがな。言葉わかるんかいな。すいません。お客さん、ロビーの方に...」
 「やっと、静かになったな。子供が泣くと、よけい暑うなるね。今日のネタ忘れてしもうたがなー。まあ適当にやろか。」
 「かなわんな。」
 「まあ、それにしても暑いな。汗ビッショリやで。」
 「舞台はライトが当たってるから、よけいに暑いのや。」
 「そうか。暑い暑い言うたらよけい暑うなるな。どや、今からこの漫才終わるまで、『暑い』言うたら一回につき千円相手に払う、ちゅうことにしょうか。」
 「本気か。いま仕事中やで。まあ、おもろいかもな。」
 「よし決まった。今からや。」
 「.....」
 「何かしゃべらんかい。だまっとったら漫才ならんやないか。あーイアムベリホット。」
 「なんや、英語で言うのはええんか。おかしな英語やけど。」
 「英語はええやろ。ルール違反ではないで。あっついな。」
 「あ、千円払え!」
 「何でや!」
 「いま、あつい言うたやないか!」
 「言うてへん。あっつい言うたんや。おまえこそ、千円払え。いま確かに言うたからな。お客さんが証人や。」

 盆の12日は、大阪のなんばグランド花月で朝11時から夕方5時まで過ごしてしまったために、つい漫才口調になってしまった。実際は、暑い日が続くある夏休みの日の昼下がりの2人の娘との会話。娘らに、「暑いと言ったら10円の罰金にしよう。」と言ってみた。内の娘らはお金がからんだ話になるとなぜか真剣になる。とたんに、『あーつい』はいいのか? 『あっつい』はいいのか? 『あつくないことはない』というのはどうか? 暑いという字を書くのはどうか? 英語でもいけないのか? 手話はいいのか? と質問攻めにあってしまった。「だから、何でも新しく規則や法律を作ることはとても大変なのだ。」と言って、冷たい麦茶を飲みに台所に退散したのであった。
(2000. 8.18)
 どこが数学的思考エッセイなのだろう??? まっいいか。30℃を超したら頭も、パソコンもマトモニ働き眞変で。

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