> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

15. 全員が以前の座席とは異なる確率は?
 45人のクラスで席替えをすることになった。目の悪い人、耳の悪い人などは前の席がいいと思うのでこれらの学生については後で考慮することにして、とりあえず公平を期すためにくじ引きで新しい座席を決めることにした。
クラスの人数(人)全員が以前の座席とは異なる確率
  1       0
  21/2=   0.5
  31/3=   0.3333…
  43/8=   0.375
  511/30=  0.3666…
  653/144= 0.3680
  7103/280=0.3678…
  :       :
 45      0.367879441171…
 ところが実際やってみると、以前の座席と変わらない学生が何人かいる。公平なくじ引きで座席を決める方法で、全員が以前の座席とは異なる、すなわち以前の座席と変わらない学生が一人もいないような確率はいったいどのくらいなのか気になったので計算してみた。
 クラスの人数がどんどん多くなると、この確率pは一定の値 p=0.367879441171… に近づく。実はこの値の逆数は、
 1/p=e=2.718281828459…
であり、この e は自然対数の底として有名な値であるが、こんなところに顔を出すとは驚きだ。とにかく、全員が以前の座席とは異なる確率は 0.37 しかないのだ。ということは大体3回のうち2回は席替えをしても変わらず同じ所に座っている学生が一人はいるということなのだ。
(2000.11. 2)
 (1+1/x) の値は、x→∞、あるいは x→−∞ の極限において、2.718281828459… に収束する。この値を 文字eで表し、自然対数の底またはネピアの数という。

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