最近、「分数のできない大学生」という本が世間では話題になっているらしい。この本を読んではいないので内容は知らないが、学生の計算力は確かに落ちてきているように思う。
ところで、2/3+1/4 の計算の仕方を、何も知らない子供に次のように説明したとする。 「A君の家は3人家族だが男は2人だよね、だから男の割合は2/3。 B君の家は4人家族で男は1人だから男の割合は1/4だよね。じゃあ両方の家族が一つ家に住むことになったとしたら、何人家族でそのうち何人が男かというと、そう7人家族で男は3人だから男の割合は3/7 となるだろう。だから、2/3+1/4=3/7 のように計算すればよい。わかったかい?」 あるいは、野球の好きな少年には次のように説明してやったとしよう。 「昨日は君は3打数2安打だったから打率は6割7分、正確には分数で2/3、今日は4打数1安打だったから打率は2割5分、分数では1/4、2日間でのトータルでは7打数3安打になるから打率は4割3分、正確には分数で3/7 となるだろう。だから、打率の計算は分数で 2/3+1/4=3/7 のように計算すればいいのだ。わかったかい?」 もちろん試したことはないが、子供は 「うん学校の先生の説明よりよく分るよ。」 というに違いない。そしてその子は必ず落ちこぼれて生涯算数、数学で苦労することになるので、(相手が憎たらしいワルガキでも)絶対にこのことは試さないように。 ところで、分数のこの計算法ではなぜいけないのか、考えてみてもらえますか? さて、小学生で初めて割り算を習ったとき、例えば 「9÷4 の計算をしなさい。」 と言われたらどのように答えるように教わっただろう。たぶん、「答えは2で余りが1です。」 と答えるのが正しいと教わっただろう。それでは、「答えは2.25で、余りはありません。」 と答えたら間違いだろうか。あるいは、「答えは9/4で、余りはありません。」 では間違いだろうか。2.25は小数、9/4は分数という立派な "数" の仲間であるから、このような答え方が間違いであるはずはない。 なにかの本で見たのだが、これの説明として次のものが納得がいくかもしれない。「9匹のカブトムシがいます。これを4人の子供に公平に分けてやるには、1人に何匹づつやれるでしょう?」 この場合、「答えは2匹づつで、1匹余ります。」 を正解とすべきであろう。やはり、2.25匹とか、9/4匹では正解にしたくない気がする。しかし、「9リットルのジュースがあります。これを4人の子供に公平に分けてやるには、1人にどれだけづつやれるでしょう?」 この場合には、「答えは 2.25リットルづつです。」 というのが素直な解答のような気がする。 では、答えを9/4にするのがよいような問題が作れるだろうか? 考えてみてもらえますか? (2001.11. 4)
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上の分数の計算と割り算のこのような話は、それぞれ別の何かの本で見たことで私の思いつきではないのだが、どの本で見たのか見つからないので出展を明記しておりません。
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