> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

62. 因果応報
 川の流れと炎は、いつまで見ていても飽きないものである。同じようでいて決して同じではない、同じ状態は二度とは現れない。このことが人の心になにかを想わせる。


”立ち昇る流れは絶えずして、しかももとの炎にあらず。
 されど、この世は因果応報にして、炎とてしかり。”

 本当は焚き火にして、いつまでも眺めていたかったのだが、なかなか思うようなものにならず、やむなく1本のマッチの火になってしまった。
 (ロウソクの炎にしようかとも考えたのだが、ロウソクをじっと見詰めていてはちょっと怪しい気分になりそうなので止めた。)


 この世は、因果応報。過去の行いが現在の状態をなし、現在の行いが未来の状況をつくるとされる。
 ならば、物の動きなどもニュートンの運動方程式などを持ち出さなくても、この原理で説明されるのではないか、と 一昔前、「現象系モデル」なるものをつくっていろいろ調べてみた。すなわち、各時点の状態は、その時点より以前のいくつかの時点の状態によって、決定論的にあるいは確率論的に定まるとするのである。確率的に定まるとすると数学的に問題が難しくなり解くのに困難、決定的に定まるとするとたいして興味ある結果は得られず、断念したのである。


  現象系モデル … 各点の状態は、その点より以前のいくつかの点の状態によって定まる、とする。



 ところが、上のマッチの炎を作成していて、この手法は現象系モデルの原理であることを知った。(参考図書:杉山三樹雄著 「Javaではじめる画像処理プログラミング」)


 最初に、マッチの軸の位置(1段目)の各点にオレンジ色から黒色までをランダムに置き、これを火種とする。次に、2段目の各点の色は、1段目の近くの色を平均した色を置いていく。(例として上図で、2段目の0点の色は、1段目の1、2、3点の色を平均したものにしている。) すなわち、火種が2段目の色を定め、2段目の色が3段目の色を定め、…以下同様にすると炎ができあがる。
 まさに以前考えていた現象系モデルの原理であった。川の流れの様子も、この原理でできる。その他、稲妻や雲の動きなども同様にできる。

 自然が、このようにして様々な形をつくり変化しているというわけではないだろうが、やはり、この世は因果応報か。善行は善行を生む。善行にいそしむべし、いそしむべし。
(2004. 2.23)

**********************************************************************************
Copyright(C) Yokahiyokatoki