> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

65. 厨房に入る
 男子厨房に入るべし、ということで最近料理を始めた。いままで全くと言っていいほどやったことはなかったのであるが、これがなかなか面白い。思ったより簡単である、と思えば一方で、ちょっとした事で大きく味が変わることもあり、なかなかの奥の深さも感じる。
 料理は段取りである。鍋の火の加減を見ながら、包丁を使いながら、さらに次に使う材料や道具の手はずを考えている。おのずと集中する。パソコンの込み入ったプログラムを考えている時はある一点に絞って集中しているが、料理の時はマルチ的に作業を行い全体の流れに集中する。頭の使う部分が異なり、これが精神状態にいい。

 今日は誰でも最初に挑戦する定番のカレーライスである。まずはジャガイモの皮をむいて、サイコロ大に切る。
 ここで疑問が起こる。一つのジャガイモを効率的にサイコロ形に切るにはどうすればよいか? もちろん、数学的には互いに直交する3方向から包丁を入れればいいのだが…。
 実際にやってみると、1方向に包丁を入れ次の方向に包丁を入れようと向きを変える、とジャガイモはそのままの形を保ってはくれないで、ばらばらになり途方にくれる。
 最初にジャガイモを立方体に整形しておくとよいかも知れない(切り落とした部分は適当に)と思いついたが、私の技術ではこの方法でうまくいくかどうか、次回に試してみることにしよう。
 おそらく、簡単にサイの目に切る道具も売られているだろうと思うが、不思議なことに道具で切ったものはあまりおいしくないのである。すべて形が均一であると、人間には不自然に感じるのだろう。人間には自然なゆらぎが必要なのである。

 このようなことを考えながらやっているとカレーひとつ作るにも時間がかかるが、数学的にも、物理的にもいろいろと面白い問題が沸いてくる。
 「レシピを見ながら料理を作れる能力があれば、少なくとも高校数学は理解できる」 と秋山仁先生がラジオ講座でおっしゃっていたが、実感する。もしこの逆命題も成り立つなら、学校で数学を学ぶ意義も理解されやすいだろうなあ。いずれにしても、料理はいい。厨房に入るべし。
(2004. 6.18)

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