> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

75. ドミノ倒し


 ドミノ(k-2) 「おい(k-1)君、君が動いてくれれば僕は君に頭をくっ付けて動くから早く動いてくれないか。この中途半端な体勢でいるのはシンドイし、後ろの(k-3)君からもせかされているんだ。早くしてくれ」

 ドミノ(k-1) 「わかっているよ。だけど前の k 君が動いてくれないことにはどうしようもないんだ。おい K 君、君が動いてくれれば僕は君に頭をくっ付けて動くから早く動いてくれないか。この体勢でいるのはシンドイし、後ろの(k-2)君からもせかされているんだ。早くしてくれ」

 ドミノ k    「わかったよ、いま動くよ。動けばいいんだろ動けば」

 ドミノ(k-1) 「おい k 君、動けばいいっていうもんじゃあないぞ。僕たちドミノは一人で生きているんじゃあないんだ。みんながついて行けるように動いてくれないと困るよ」

 ドミノ k    「そんなこと言われてもなー。大体こんなことは俺たちドミノのすることじゃあないんだぞ。おれたちにゃあ、ちゃんとした本来のゲームがあるんだ」

 ドミノ (k-1) 「はっ? 何を言っているんだ?」

 ドミノ k    「こんなことは昔は将棋の駒のすることに決まっていて、将棋倒しと言っていたんだ。それが将棋の駒たちは体格がばらばらでやりにくいので、おれたちドミノに目が付けられやらされるようになったんだ」

 ドミノ (k-1) 「ぶつぶつ言ってないで、早く動いてくれよ! 先っき僕が動いたように動けばいいんだから」

 厳密には k の動きは(k-1)の動きとは異なる。ただ k が十分大きいなら、すなわち定常状態になったら、すべての駒は時間をずらして同じ動きをするといってよい。
 といっても、この定常状態を計算で求めることは難しい。どのように動いたらいいのか困ったのは、パソコンでドミノ倒しを作ろうとした私である。自然は計算をするわけではなく自然の力にしたがっているだけであるが、これをいとも簡単にやってしまうのだからすごい!




 しかたがないので、試行錯誤でそれらしく見えるようにしただけである。
 組織のなかで生きていく駒は、自分では何も考えないで後ろから押されるままに、また前の人についていくだけにしても、前や後ろ(上や下)のご機嫌を伺いながらやっていくには、さぞ疲れることであろう。
(2004.12.21)

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