> 『数学的思考(?)エッセイ』 の試み

98. 吾輩はイヌに生まれたイヌである
 吾輩(わがはい)は、ネコに生まれてきたと思っていたイヌである。吾輩はいつもニャアニャアと鳴いていた。周りの仲間もニャアニャアと鳴くネコばかり。

 ところが、最近になって、吾輩は気が付いた。今までイヌだと思っていたものは実はネコで、ネコだと思っていたものがイヌであり、ワンがニャアでニャアがワンであると。
 すべては吾輩の主人「余暇日余暇時」のせいである。吾輩の主人はどうしようもないいたずら好きであるらしい。主人の配偶者に言わせれば、いたずら好きを通り越した困り者である。

 吾輩の主人は、吾輩が生まれてすぐ吾輩を“ネコ”と命名し、吾輩の同胞すなわちイヌをネコだと言い、ネコをイヌだと言い、ワンがニャアで、ニャアがワンだと言った。赤を黒、黒を紫、紫を青、青を黄、黄を茶、茶を緑、緑を赤と言った。生まれてからずっとそのように言うのを聞いてきたのだから、素直で従順な遺伝子を受け継いだ吾輩でなくとも、そのように思い込むしかあるまい。

 ネコだと思っていた吾輩が実はイヌであったと知って、うれしいわけでも悲しいわけでもない。ただ、大いに戸惑っている。その大いなる戸惑いがどのようなものか。赤と言うべきものをいままでは黒と言っていたのだから、これからは黒を赤と言わなければならない。紫を黒と言わねばならず、青を紫、以下めんどうなので略す。では、やってみていただきたい。はいどうぞ。

      

 茶、赤、黒、青、紫、黄、とすらっと言えたかな。そうか、これが難しいのは吾輩だけか。吾輩の主人はこれを吾輩に、緑、黒、紫、黄、青、茶、とすらすら言っていたのだ。皆さんにはちと難しいだろうから、これならどうだろうか。漢字を読むんじゃあなくて、色を答えてほしい。

       
(2005. 8.27)


**********************************************************************************
Copyright(C) YokahiYokatoki