このところ急に頭の方が涼しくなってきたように思う。髪の毛の単位面積あたりの本数、すなわち数密度が小さくなったためであると思われる。周りの人が、頭に異変が起きてますね、などと言って下さる。確かに異変だと言えなくもないが、私自身は、この現象は自然の法則が目に見えるわかりやすい例であると考えている。
髪の毛の数密度が小さくなる原因の一つとしてメンデルの法則、すなわち遺伝がある。確かに私の親父はそうであった。ちなみに髪の毛の数密度を小さくしない一つの方法として、「そうなるまえに死ぬ」というのがあるが、親父は四十四歳の若さでこの世を去ったにもかかわらず、不幸にしてそのとき既に髪の毛の数密度が十分小さかったことを、私は写真で知っている。私は親父のその歳を四年も前に越したので、髪の毛の数密度がさらに小さくなったことが、自然の法則でなくてなんであろう。 それはまあ良いとして、ここで問題にしたいのは次のことである。すなわち、私は「禿げている」とは言われたくない。なぜなら、「髪の毛の数密度が何本以下を禿げているという」という禿の定義が存在しないと思うからである。どなたか禿の定義をご存じの方は、私に教えないでいただきたい。 もっとも、「このところ髪の毛の数密度が異常に小さくなりましたね」とも言われたくないような気もする。ここでは「このところ額の部分が進化しましたね」とでも言っていただくと、それで金もかけずに人を幸せにできるのである。 (1999.11.22)
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すな[砂・沙]細かい岩石の粒の集合。主に各種鉱物の粒子から成る。通常、径2mm以下、1/16mm以上の粒子をいう。 いし[石]岩より小さく、砂より大きい鉱物質のかたまり。 いわ[岩]石の大きいもの。特に、加工せず表面がごつごつしているもの。 ※新村出編「広辞苑第4版」(岩波書店)より。 |